確定拠出年金『実務教室』 

確定拠出年金の実務をこなしてしていくうえで、これは…どう対応すれば(考えれば)よいのだろうか…?と思うことは少なくないと思います。


運営管理機関に問い合わせするのも解決策の1つですが、確定拠出年金法を踏まえたその「概要」を理解しておくことも必要ではないでしょうか?


J-401kオフィスのホームページでは、シリーズで確定拠出年金『実務教室』を掲載していきます。

 

No.2 マッチング拠出で加入者に伝えること

 

マッチング拠出のメリットは皆様、十分ご理解頂いているものと思われ、導入を検討されている確定拠出年金実施事業主も多いと(希望的観測も含め)想定しております。
そのマッチング拠出について、制度の内容を加入者に説明するにあたって、事業主から【必ず伝えておきたい事項】を今回の実務教室では
解説してみたいと思います。

 

マッチング拠出は加入者自身の申込(選択)により、その加入意思を確認することとなるため、加入者から「加入申込書(例)」を差入れしてもらうこととなります。
その「加入申込書(例)」に記載する文言例も掲載しておきますが、規約の変更等の手続きをされる運営管理機関にも、その内容についてご確認されることをオススメします。

 

☆加入者掛金の開始、中止時期について
マッチング拠出を申込できる時期(タイミング)を周知します。


<記載例>
・加入者掛金の拠出開始(再開も含む)は年2回「○月」(○+1月拠出)と「△月」(△+1月拠出)に可能
です。なお、開始の申出は該当月(○月・△月)の3ヶ月前までです。
・加入者掛金の中止は毎月可能です。
・開始・中止は加入者掛金の拠出額の変更に該当しません。

 

☆加入者掛金の拠出限度額について
法令で定められたマッチング拠出の限度額がありますので、加入者への説明・加入者の理解は必須です。

  

<記載例>
・加入者掛金は以下の2つの条件を満たす必要があります。
(1)加入者掛金(月額)は、事業主掛金(月額)が上限です。
(2)加入者掛金(月額)と事業主掛金(
月額)の合計額が、確定拠出年金法に定める法定拠出限度額の範囲です。

※会社の拠出限度額(51,000円、25,500円)を周知しておくことも忘れないでください。

  

☆自動減額について
給与比例等、定率(定額+定率を含む)掛金設定をしている場合、事業主掛金額が下がるケースも想定され、それに伴いマッチング拠出(加入者掛金)の額が事業主掛金を超過することもあります。その時の取り扱いについても徹底しておきましょう。

 
<記載例>
・拠出開始後に事業主掛金が変更となり、拠出限度額を超える場合は自動的に加入者掛金が減額さ
れ、減額後の加入者掛金への変更があったものとします~A
・自動減額後、再び事業主掛金が変更または法定拠出限度額が改正となり、当初申込の加入者掛金
の拠出額が増額できる場合でも、自動的には増額できません。なお増額を希望される場合は、別途変更の申し出が必要です~B

 

☆加入者掛金の変更について
どの月に変更できるか、回数は、申込は、について周知します。

 
<記載例>
加入者掛金の拠出額は、年○回の変更が可能です。なお、変更の申出は該当月の3ヶ月前までにお
願いします。

※自動減額Aのケースはカウントしませんが、Bのケースでは1回とカウントすることを補足しておくと良いでしょう。

 

☆加入者掛金の税法上の取扱いについて
年末調整にあたり、どの項目で所得控除されるのかを示します。

 
<記載例>
・加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、掛金の全額が所得控除されます。

・事業主が給与天引きで掛金を徴収・納付しているため、証明書等の提示は必要ありません。

 

☆加入者掛金によって積立した資産の取扱い・受取りについて
給与から天引き拠出されるため、自分の給与積立と勘違いをしていつでも「返還してもらえる」と思
ってしまいがちです。確定拠出年金の資産であること!を明確にしておきます。

 
<記載例>
・加入者掛金によって積立した資産は、事業主掛金により積立している確定拠出年金の資産同様、原
則60歳以降の受取りとなります。中途での任意の引き出しはできません。
・また、事業主掛金と合算して運用の指図等を行うこととなります。

 

☆規約に事業主返還条項があり、退職時にその対象となる場合について
事業主返還となる可能性がある加入者がマッチング拠出を申込する場合は、必ず説明しておきま
しょう。


<記載例>
・事業主返還となる金額は、「事業主掛金の累計額」もしくは「資産残高を事業主掛金と加入者掛金累
計額の割合で配分した額の事業主掛金相当額」のいずれか少ない額となります。

 

少し面倒…と思われるかもしれませんが、A4用紙1枚で収まる程度の内容ですので、事業主・加入者が制度を理解し合って、良い仕組みを、有効に活用するという観点でご対応をお願いします。

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